【書評】脱Tableau初心者!書籍『Tableauデータ分析〜実践から活用まで〜 一歩進んだ7つの使い方』のご紹介 #tableau
はじめに
こんにちは。大阪オフィス(そしてDI部)のtamaです。
Tableauユーザーのみなさんは下記の本をご存知でしょうか。
「Tableauデータ分析〜入門から実践まで〜」は、Tableau(主にTableau Desktop)に関する基本的な部分を総ざらいした、まさにTableau入門書の決定版ともいえる書籍といえるでしょう。
そして、2018年8月24日、この本の続編ともいえる「Tableauデータ分析〜実践から活用まで〜 一歩進んだ7つの使い方」が発売されました!
前回に引き続き、今回も秀和システム様から献本を頂きました(ありがとうございます!)ので、もちろん今回も書評エントリを投下させていただきます。ちなみに、ざっくりと目を通しましたが、まだまだ読み込んではおりませんので、「こういう事が解説されているのでオススメ」という形でご紹介していきます。
本のスペック(本そのものについて)
本そのもののスペック
- 383ページ
- フルカラー
前回が727ページだったので、比較するとだいぶ薄くなったと感じますが、それでも使いようによっては鈍器扱いとなる程度にはボリュームがあります。また、今回もフルカラーということで、ビジュアライゼーションが命のTableauを扱う本としては非常に嬉しいところです。
前書との比較
やはり前書と比較するとコンパクトに感じますね。本書だけを見ると、「普通の技術書くらいかな…?」という感じでしょうか。
章毎の内容紹介
前書は「部」と「章」の構成でしたが、本書は全7章というシンプル構成です。どれもTableauに慣れ始めると、多くの人が引っかかるであろう部分が取り上げられており、「かゆいところに手が届く」感が強いです。
(序章) 「はじめに」
この本自体の概要等について書かれています。関わったメンバーの方々についても触れられております。
いい!と思ったところ
「Tableau Desktop Qualified Associate」について書かれています。これはTableau Desktopの認定資格ですが、公式が配布している試験ガイドだけでは、なかなか学習範囲を特定することが難しいと感じる方もいると思います。本章では、試験ガイドの各項目と本書ページ(前書も含む!)が関連付けられている表が記載されており、「試験ガイドの○○を学習したい時は△△ページを読めばよい」という感じに利用することができます。
ちなみに私も試験ガイドに沿ったブログを書いています。参考までにどうぞ…。
第1章 6つのつまずき解決法から紐解くTableau操作の基本コンセプト
Tableau(主にDesktop)を使う上で、マスターしておくべき要素を7つ挙げており、そのうち6つ(残りの一つは次章)についての解説が書かれています。この「マスターしておくべき要素」というのは、手順や操作的なものではなく、Tableau自体の概念に関する要素…と言う方が適切かもしれません。Tableauを実際に操作するにあたり、これらの概念を理解しておくと、より思い通りにTableauを操ることができると思います。
いい!と思ったところ
「Tableau自体の概念に関する要素が書かれている」と前述しましたが、教科書みたいなカタい感じの説明ではなく、Tableauを使っている中で実際に起こりやすいことを持ち出し、「こういう問題が起こるのは、Tableauがこういう概念だから」というような形で説明されており、それがとてもわかりやすいです。使用データも付属の「サンプルスーパーストア」なので、Tableauユーザーはとっつきやすいと思います。
第2章 徹底解説!複数のデータの取り扱い方法
前章で挙げられた「7つのマスターしておくべき要素」のうち、最後の一つがここで説明されています。実際の業務でTableauを使用する場合、一つのデータで完結することは少なく、複数のデータをTableauに集めて利用することが多いと思います。この章では、その「複数のデータ」を扱う方法について書かれています。「結合」や「ユニオン」は、すぐに理解できる方も多いと思いますが、「データブレンド」や「クロスデータベース結合」となると、なかなか説明できない方が多いのではないでしょうか。この章ではそういった方法についても解説がされています。
いい!と思ったところ
複数のデータを先に処理しておく手段として、Tableau Prepについても少し触れられているのですが、なんと弊社ブログ記事(しかも私のエントリ。掲載していただきありがとうございます!)が参考文献として紹介されております。
自分の書いたエントリの題名が印字されているのを見ると、なんだか不思議な気分になりますね。
Tableau Prepに関するエントリは下記をご覧ください。
第3章 表計算を使いこなして高度な分析を行おう
Tableauユーザーの多くがやりたいと思っている事の一つとして「表計算」があるかと思います。TableauはExcelのような「表計算アプリケーション」ではありませんので、一口に表計算といっても、できる事と操作手順が根本から異なります。表計算を行う方向に関する概念や、「表」「ペイン」「セル」といったパーティション(計算範囲)、そして「表計算関数」など、表計算に関する一通りのことを学ぶことが出来るようになっています。
いい!と思ったところ
表計算に限りませんが、Tableauで色々計算を仕込んでいると「この計算、本当に正しいのか…?」という不安が渦巻いてきます。その不安を払拭するためには、そのビューを検算しないといけませんが、この章ではTableauの検算についても触れられています。Tableauの検算に関してまとめられているドキュメントはなかなかないので、すごく貴重です。
第4章 LOD表現でTableau活用の幅を広げよう
出ました。
TableauのLODは、ギターでいうFコード…通称「Fの壁」と同じポジションといえるでしょう。このLODを使えるか使えないかが、初心者と中級者を分ける一つの大きな区切りといっても過言ではありません。
LODについては前書でも取り扱われていましたが、この章では、より徹底的にLODについて書かれています。
LODは色々な場面で活躍しますが、パッと思いつくのは「顧客分析」でしょうか。「顧客毎の平均購買額」「顧客毎の初回購買日」といったことを算出したい場合はLODが必要です。最近はマーケティング分析において、顧客軸で分析することが多いので、なおさらLODは必須要件といえるでしょう。
いい!と思ったところ
LODにも種類がありますが、「FIXED」については比較的すぐに理解できるのではないでしょうか。しかし、「INCLUDE」「EXCLUDE」が難しい…。なかなか理解できない…。この章では、これら2つについても図解で解説されているため、とても心強いです。Fコードが弾けるようになれば、他のバレーコードも弾けるようになるのでがんばりましょう(違う話になってしまった)。
第5章 設定を使いこなして思い通りのデザイン表現を行おう
これまでとは打って変わって、ビューやダッシュボードの見た目について説明がなされている章です。「連続」と「不連続」で可視化する色が異なる…といった、かなり細かい部分まで触れられています。「この部分をこう変えたい…」といった悩みが、この章で解決できるのではないでしょうか。
いい!と思ったところ
この章の最後にある「『Visualization』に関するコラム」ですが、私は本書の中で一番重要なセクションがこのコラムだと考えます。
「データを可視化することの意義」「どういうビジュアライゼーションが伝わりやすいのか」という、Tableauの核心ともいえる部分についてしっかりと書かれています。実例を用いたビジュアライゼーションのセオリーの説明もありますので、わかりやすいです。ここは熟読必須です。
第6章 Tableauの動作が遅い時のパフォーマンスチューニング
これもTableauに慣れてきたユーザーの多くが悩む部分でしょう。
色々な計算の方法を習得し、伝わりやすいVizの作り方を学んだ…というところでパフォーマンス改善に関する章が登場します。この本、章の順番についてかなり練られていると見ました。
そもそもTableauはどういう仕組みでVizを展開するのか…という「中の話」を理解した上で、じゃあその仕組みのどの部分がボトルネックなのかを探る、という流れで説明がされており、話がわかりやすくなっていると思います。
いい!と思ったところ
章の最後に「パフォーマンスに関するチェック表」が載っており、これらをチェックしていく事で、Vizのパフォーマンス改善を行っていくことができます。各チェック項目の詳細はちゃんとページが載っているので、単にチェックするだけで終わらないようにもなっています。便利です。
第7章 もっと活用したい!Pythonとの連携
この章は、中級者から上級者にステップアップする第一歩…という位置づけな内容となっています。下記について、実施する方法が1から解説されています。
- TabPy(Tableau DesktopでPythonを実行する)
- TableauSDK(各言語からTableau Desktopを操作する)
- Web Data Connector開発(任意のREST APIから直接データをもってくる)
Pythonが実行できるということは、最近ホットな機械学習もTableauで実行させることができます。この章では、実際に機械学習のライブラリを用いてPythonで機械学習を行い、結果をTableauで可視化するということをやります。
非エンジニアの方は、一見とっつきにくいかもしれませんが、逆にこの章がPythonを始めるきっかけにもなるかもしれません。今までの章とは行う事のスケールが違うので、分析の幅が一気に広がること間違いなしです。
この章の注意点としては、機械学習そのものに対する解説はメインではないということです。あくまでPythonとTableauの連携に重きがおかれている章なので、この章で機械学習に興味をもった方は、別途機械学習の本を買うことをオススメします。
いい!と思ったところ
上述していますが、TabPyだけでなく、TableauSDKやWeb Data Connectorについても触れられていることです。これらは、ネットの情報だけでは、なかなか理解するのが難しい部分があるため、このように書籍でまとめられているとかなり理解しやすいです。
おわりに
以上、書籍『Tableauデータ分析〜実践から活用まで〜 一歩進んだ7つの使い方』のご紹介でした。
書名の通り、まさに前書から「一歩進んだ」感のある内容でした。前書の内容はもう理解したという方や、前書の目次を見て「これは大体わかっている」といった方にはうってつけの書籍となっています。
私も、最近Tableau Serverに触れることが多く、基本であるTableau DesktopのViz作成にあまり取り組めていないところがあったので、この本で一気にスキルの巻き返しを図りたいと思っています。